1/sinx の積分の4つのやり方【推しの積分8】
について記事を書いていきます,
概要
この不定積分、おそらく三角関数の積分を教科書で習った段階ではお目にかからない積分であるとは思います. 私の高校時代の教科書には章末問題として掲載されており、それなりに難しい積分という位置づけなのでしょう.
本記事では、一般的に知られている方法のほかに3つほど紹介したいと思います.
方法1
先ずは一般的な方法を紹介.
三角関数の積分は2乗の形を作るとうまくいきやすいというのは言われていることなのですが、
それにしたがって を分母分子にかけてやります:
\begin{eqnarray*}
I = \int \dfrac{1}{\sin{x}}\, dx &=& \int \dfrac{\sin{x}}{\sin^2{x}}\, dx \\
&=& \int \dfrac{-(\cos{x})'}{1-\cos^2{x}}\, dx
\end{eqnarray*}
このようにすると微分の接触形にできます. と置換すると であり、
\begin{eqnarray*}
I &=& \int \dfrac{-(\cos{x})'}{1-\cos^2{x}}\, dx \\
&=& -\int \dfrac{1}{1-t^2}\, dt \\
&=& -\dfrac{1}{2}\int \left( \dfrac{1}{1+t} + \dfrac{1}{1-t} \right)\, dx \\
&=& -\dfrac{1}{2} \left( \log{|1+t|} - \log{|1-t|} \right) + C \\
&=& \dfrac{1}{2}\log{\left| \dfrac{1-t}{1+t} \right|} + C \\
&=& \dfrac{1}{2}\log{\dfrac{ 1-\cos{x} }{ 1+\cos{x} } } + C
\end{eqnarray*}
部分分数分解を施して終わりです. 最初の変形さえできれば何のことはない積分です.
最終行では
より絶対値を外してます.
その最初の変形が思いつかねぇんだよバーカ?
それは知らん.
方法2
苦渋の置換 を行います. まぁこれは一回やれば二度とやらないと思いますが、こうすれば絶対にできるということを知っておくことは大事なんじゃないでしょうか.
と置くと、
となります. これが僕の中の最短です. というか覚えてます. それで積分がどいうなるかというと:
半角の公式
を用いれば1から2の式に変形できますね.
こんなんは二度とやらないですね.
方法3
次は分母の を2倍角の公式でばらします. さらに分子の を を使って無理やり変形します
\begin{eqnarray*}
I &=& \int \dfrac{1}{2\sin{\frac{x}{2}}\cos{\frac{x}{2}}}\, dx \\
&=& \int \dfrac{\sin^2{\frac{x}{2}} + \cos^2{\frac{x}{2}}}{2\sin{\frac{x}{2}}\cos{\frac{x}{2}}} \, dx \\
&=& \int \left( \dfrac{\frac{1}{2}\sin{\frac{x}{2}}}{\cos{\frac{x}{2}}} + \dfrac{\frac{1}{2}\cos{\frac{x}{2}}}{\sin{\frac{x}{2}}} \right) \, dx \\
&=& \int \dfrac{-(\cos{\frac{x}{2}})'}{\cos{\frac{x}{2}}} \, dx + \int \dfrac{(\sin{\frac{x}{2}})'}{\sin{\frac{x}{2}}} \, dx \\
&=& -\log{\left| \cos{\frac{x}{2}} \right|} + \log{\left| \sin{\frac{x}{2}} \right|} + C \\
&=& \log{\left| \tan{\dfrac{x}{2}} \right|} + C
\end{eqnarray*}
を で変形するのはたまーにやります. 例が思いつかない位には稀です.
方法4
次は分母の を同様に変形して、さらに無理やり微分の接触形を作ります.
\begin{eqnarray*}
I &=& \int \dfrac{1}{2\sin{\frac{x}{2}}\cos{\frac{x}{2}}}\, dx \\
&=& \int \dfrac{1}{\tan{\frac{x}{2}}}\dfrac{1}{2\cos^2{\frac{x}{2}}} \, dx \\
&=& \int \dfrac{1}{\tan{\frac{x}{2}}}\left( \tan{\dfrac{x}{2}} \right)' \, dx \\
&=& \log{\left| \tan{\dfrac{x}{2}} \right|} + C
\end{eqnarray*}
これが最短です. 間違いないです.
はい、完成しました
— ハドロン@推しの積分 (@intvoyager) 2020年12月25日
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この結果はもはや公式ですね.