推しの積分

私の推しの積分ガンガン挙げていきます

(x^2+1)/(x^4-x^2+1) の積分【技巧的】【推しの積分7】

今回は超絶技巧的な不定積分を扱います.

 \displaystyle I = \int \dfrac{x^2+1}{x^4-x^2+1}\, dx

着手

まずは何から手を出しますか?

分母の方が次数は高いし、

微分が上に乗っているわけでもなく、、、


せや!!部分分数分解や!!!



 x^4-x^2+1 = \left(x^2-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i-\dfrac{1}{2}\right)\left(x^2+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i-\dfrac{1}{2}\right)

(=_=)。。。

まあ、このまま複素数係数を認めてやっていってもできるんですが、実積分なので実数のまま処理したいですよね.


それではもう一度被積分関数をじーーーーーーっっと眺めましょう.

分母分子が対称な形になっているのに気がつきませんか?

私は教えてもらうまで気づきませんでしたし、教えてもらった後に

「それがなんやねん」

といいました. ごめん.

まあざっくり言うと相反方程式のような扱いができるということです.

解答

分母分子を x^2 で割ってあげると:

\begin{eqnarray*}
I &=& \int \dfrac{1+\frac{1}{x^2}}{x^2-1+\frac{1}{x^2}} \, dx \\
&=& \int \dfrac{1+\frac{1}{x^2}}{\left(x-\frac{1}{x}\right)^2+1} \, dx \\
\end{eqnarray*}

はい、分母はみんな大好き対称式の問題でよく出る変形をしました.

勘のいい人はもう痴漢しています. 置換しています.

t = x-\dfrac{1}{x} と置くと  dt = \left( 1+\dfrac{1}{x^2} \right) なので

\begin{eqnarray*}
I &=& \int \dfrac{1}{t^2+1} \, dt \\
&=& \tan^{-1}{t} + C \\
&=& \tan^{-1}{\left( x-\dfrac{1}{x}\right)} + C
\end{eqnarray*}

最後はあっさり!!

さらに1つ注意点があって、こいつを x = 0 をまたいで定積分する場合には注意が必要です.

x-\frac{1}{x}x \rightarrow -0+\infty に、 x \rightarrow +0-\infty に発散しています.

一方で  y=\tan^{-1}{x} という関数は 多価関数にならないように |y| \leq \frac{\pi}{2} に制限しています.

また被積分関数有界なので積分した  \tan^{-1}{\left( x-\dfrac{1}{x}\right)} は連続関数になります.

したがって、x=0 をまたぐときは連続になるように\tan^{-1} の分枝を取り直す必要があります.

-1 \leq x \leq 1 なる区間の定積分なんかを試してみてください.

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tan^(-1)(x-1/x) のグラフ.

x=0っをまたぐときに、黒から赤の分枝に乗り換えましょう.



早い内に双曲線関数と逆三角関数になれておくことが大事です. 多分.